何も問わない日のための、
3つの余白
問わない日があります。
これまで9本の記事で、合わせて89の問いを置いてきました。朝の体温を測り、夜に1日を置き、人にモヤッとした日や、家族が近すぎて見えなくなった日や、決めきれない夜のための問いを並べてきました。
今日はその10本目で、最後です。問いはたった3つしかありません。
イーサン・クロスの『Chatter』が紹介してくれる距離化の技法も、三人称も、10年後の自分も、今日はいったん全部置きます。技法を使うことそのものが、ときに小さな疲れを生むからです。観察する、ということ以前に、ただそこにある、という日を、月に1日くらいは作っていいと思っています。
なので、今日は短い記事です。短いまま読んでください。
問い1
今、目に入っている色で、一番好きなのはどれ?
理由はいりません。今この画面のまわりを見て、視界に入っている色の中から、なんとなく好きな色を1つ選ぶ。それだけです。
「好き」の根拠を探そうとすると、また頭が動き始めます。根拠は要らないです。視界の中から、ひとつ、好きなものを拾う——それだけのことを、自分にやらせてあげる感覚に近いです。
問い2
今、聞こえている音を3つ。
問いではなく、置いておく一文です。
エアコンの音、外を走る車の音、自分の呼吸の音。3つ拾えなくても構いません。1つでも、ゼロでも、それが今日の音の量です。
IT業界で4,000回ほど人前で話してきた中で、研修の最後に「では、最後に1分だけ目を閉じて、聞こえる音を3つ拾ってみてください」とお願いしたことが何度かあります。終わった後に、参加者の方が「久しぶりに、自分の呼吸の音を聞きました」と話してくださることがありました。何かを学んだ後よりも、何かを学ばずにただ座っていた1分のほうを、人は長く覚えていることがあります。
問い3
何も変えなくていい今日。
これも問いではなく、置いておく一文です。
今日は、何も変えなくていいです。気づきも要らないし、決断も要らないし、明日に活かす必要もありません。今日のまま、今日が終わっていく——その当たり前のことを、当たり前のまま受け取る日が、あっていいです。
10本のシリーズに付き合ってくださって、ありがとうございました。
89の問いと、3つの余白、合わせて92。気になった問いがあれば、それだけが今日のあなたに残ります。残らなければ、それでいいです。
問いは、答えを出すための道具ではなくて、自分の輪郭をそっと撫でて、また置いていくためのものだと、わたくしは長く思ってきました。
今日は、それすらも置いていける日です。
気になった問いだけ、手帳の端に書き留めてみてください。
もし今、しんどいときは
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1人で抱えなくていい。専門家に話すことは弱さではなく、選択肢の1つです。